エアー配管工事の改善事例|課題と工夫で実現した効率化

製造現場において、安定したエアー供給は生産活動を支える重要なインフラのひとつです。

当社第二工場でも、日々の作業にはエアーツールや機械設備が欠かせません。しかし、従来の配管方式にはいくつかの課題が存在し、作業効率や安全面に影響を及ぼしていました。
そこで今回、第二工場では社員自らが中心となって「エアー配管工事」を実施。レイアウト検討から部品購入、配管施工までを自分たちの手で行い、大きな改善効果を得ることができました。

本記事では、その背景と課題、工事のプロセス、そして改善後の成果をご紹介します。

目次

改善前の課題:エアー供給に潜んでいた3つの問題点

まず、従来のエアー供給環境には次のような課題がありました。

  1. ホースのみを利用した簡易配管
     天井から直接ホースを垂らすだけの方法で配管していた為、安定した供給が難しく、使用する機器によっては圧力低下が見られることもありました。
  2. 修理のたびに作業全体が止まる
     ホースや接続部からエアー漏れが発生しても、途中にバルブが設けられていない為、修理の際には全体のエアー供給を止める必要がありました。その結果、作業停止時間が長引き、生産性にも影響が出ていました。
  3. 5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の観点から不十分
     ホースが天井から無造作に垂れ下がる状態は、見た目の乱れだけでなく、安全面でも課題となっていました。工具や部材に引っ掛かるリスクがあり、作業動線も乱れてしまう原因となっていたのです。

これらの課題を放置すると、日常業務の効率低下だけでなく、安全性や品質管理にも悪影響を及ぼしかねません。

自分たちで工事を実現!社員が協力した改善プロセス

今回のエアー配管工事は、外部業者に全面委託するのではなく、社員が主体的に取り組みました。

まずは現場のレイアウトを再確認し、どこにエアー供給が必要かを整理。そのうえで最適な配管ルートを設計しました。
次に必要な部品を調達し、実際の施工作業を進めていきました。
配管径や部材の選定も重要な検討ポイントでした。高価なアルミ製配管か、従来からある鉄製のSGP管か――コストと加工性のバランスを比較したうえで、今回はSGP管を採用。専用工具が必要となりますが、レンタルを活用することでコストを抑えつつ、堅牢で長期的に使える配管工事を実現しました。

社員が主体となったことで、現場の使い勝手を熟知したレイアウト設計が可能になり、施工後も「ここはこうして良かった」と納得感のある改善に繋がりました。

改善後の効果:安定供給と保守性向上

工事完了後、第二工場のエアー配管は大きく改善されました。具体的な成果は以下の通りです。

  1. 安定したエアー供給
     ホースよりも太いパイプ径にしたことで、圧力低下の心配がなくなり、複数の機器を同時に使用しても安定的にエアーが供給されるようになりました。
  2. バルブ設置によるメンテナンス性の向上
     エアー漏れが発生した場合でも、コンプレッサー側のバルブを閉めることで局所的な修理が可能に。これにより、別系統のエアーを止めずに対応できるようになり、作業効率は格段に向上しました。
  3. 水抜きバルブの新設
     従来は設置されていなかった水抜きバルブを追加することで、配管内の水分除去が容易になりました。エアーツールの故障リスク軽減や品質維持にも繋がっています。

これらの改善により、工場全体の生産性や安全性が高まっただけでなく、日常的なメンテナンスのしやすさも向上しました。

アルミ製配管 vs SGP管、どちらを選ぶべきか?

今回の工事で重要な判断ポイントとなったのが、配管材の選択です。

  • アルミ製エアーライナー
     ・軽量で扱いやすく、ねじ切り加工も不要
     ・施工がスムーズに進められる
     ・ただし価格が高め
  • SGP管(鉄鋼管)
     ・安価で丈夫
     ・ねじ切りが必要なため専用工具が不可欠
     ・重量があり、施工には労力がかかる

最終的に、コストと耐久性を重視し、SGP管を採用しました。専用工具は購入ではなくレンタルで対応することで、初期投資を抑えながら信頼性の高い施工を実現できた点は大きな工夫でした。
この選択は、「現場の課題解決」と「長期的な運用」を両立するための判断であり、改善活動の実例としても価値のあるものと考えています。

まとめ:現場改善のヒントは自分たちの工夫にある

今回のエアー配管工事は、第二工場の社員が主体的に取り組み、課題を一つひとつ解決していった成功事例です。
従来の課題であったエアー漏れや5Sの乱れは解消され、安定供給やメンテナンス性が大幅に向上しました。また、配管材の選択においても、コストと施工性を比較検討し、自社に合った最適解を導き出すことができました。

「業者に任せる」のではなく、「自分たちで考え、工夫し、実行する」ことが、現場改善の本質だと私たちは考えています。今回の事例が、同じように製造現場で課題を抱える企業や、日々改善活動に取り組む方々の参考になれば幸いです。

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